日本では昔から八百万(やおよろず)の神様がいるといわれてきました。
800万柱の神様(“柱”は神様を数える単位)がいるという意味ではなく、「とてもたくさんの」というたとえです。
神様たちはそれぞれ個性や能力を持ち、私たちはその特化した力をいただくために神社へ参拝します。
今回は、日本神話の中でも特に有名な神様、天照大神(アマテラスオオミカミ)をご紹介します。
天照大神のご利益
縁結び・恋愛成就・国土平安・生命力上昇・五穀豊穣など、あらゆることにご利益があるとされています。
漢字表記と読み方
漢字表記:天照大神、天照大御神、天照皇大神
読み方:あまてらすおおみかみ(天照皇大神は「あまてらすすめおおかみ」と読みます)
出生と由来
「日本書紀」ではイザナギノミコトとイザナミノミコトの間に生まれたとされます。
「古事記」では、イザナギノミコトが黄泉の国から戻り、禊(みそぎ)を行った際、左目から生まれたとされています。
天照大神とは?
天照大神は太陽の女神で、父イザナギノミコトから高天原(たかまがはら)の統治を命じられた神様です。
天照大神の子孫が地上に降り、その系譜が天皇家へとつながったと伝えられます。
天照大神とスサノオの神話
姉と弟の誤解
天照大神は左目から生まれた女神、弟のスサノオノミコトは鼻から生まれた男神です。
スサノオは、母イザナミノミコトが亡くなった後も恋しく思い、「母に会いたい」という一心で黄泉の国へ行く決意をしていました。
その旅立ちの前に、最後のあいさつとして姉・天照大神が統治する高天原を訪れます。
しかしスサノオは豪胆で荒々しい性格。泣き叫び暴れれば、海や大地まで揺らすほどの力を持っていました。
そのため、天照大神は「高天原を攻めに来たのでは?」と誤解してしまいます。
圧倒されないよう、男装して武装し、凛々しい姿で弟を迎え撃ったと伝えられます。
誤解を解くため、二人は「誓約(うけい)」という神事を行いました。これは互いの持ち物を交換し、それを使って子を生み、その子の性質で相手の心の正しさを占う儀式です。
この結果、スサノオが悪意を持っていないと判明し、姉弟の誤解は解け、スサノオは高天原に住むことになりました。
天の岩屋戸事件
しかし高天原で暮らすスサノオは乱暴な行動を繰り返し、周囲の神々を困らせます。
天照大神はかばい続けましたが、とうとう耐えきれなくなり天の岩屋に隠れてしまいました。
太陽の女神が隠れたことで、世界は真っ暗になってしまいます。
困った神々は宴を開き、アマノウズメノミコトが舞い踊ります。
外の様子が気になった天照大神が戸を少し開けた瞬間、鏡に映る自分の姿を見せられ、その隙に外へ引き出されました。
この事件から、天照大神の人間味あふれる一面が伝わってきます。
祀られている主な場所
- 伊勢神宮(三重県伊勢市)
- 天岩戸神社(宮崎県高千穂町)
伊勢神宮は恋愛のパワースポットとしても知られ、天照大神が縁結びの神様とされる理由の一つです。
また、神々の最高位としてあらゆる願い事にご利益があるともいわれています。
おわりに
天照大神は、日本神話の象徴ともいえる存在です。
太陽の女神でありながら、弟とのやり取りや天の岩屋戸事件では人間らしい感情を見せてくれます。
神話を知ることで、参拝もより意味深いものになるでしょう。