三重県の鳥羽や志摩でよく見られるこのマーク。
「セーマンドーマン」または「ドーマンセーマン」と呼ばれています。
シンプルなマークですが、一体どんな意味がこめられているのでしょうか?
な不思議なマーク、「セーマンドーマン」について紹介していきます。
Contents
【セ―マンドーマンとは、一体なに?】
三重県の鳥羽や志摩の海女さんの間でお守りとして使われているマークです。
鳥羽・志摩と海女の関係?
海女さんとは、素潜りでアワビやサザエ、海藻など海の幸をとる漁法をする人たちのこと。
この漁法は世界でも日本と韓国でしか行われていない希少なものです。
鳥羽・志摩は全国の海女さんの約半数がいる場所。
また、海女さんが獲った海産物が伊勢神宮に奉納されたり、海女が中心となる祭も継承されていたりと、この土地と海女の関係は深いものがあります。
海女文化と鳥羽・志摩は
- 国重要無形民俗文化財(「鳥羽・志摩の海女漁の技術」)
- 日本農業遺産(「鳥羽・志摩の海女漁業と真珠養殖業」)
- 日本遺産(「海女(Ama)に出逢えるまち 鳥羽・志摩~素潜り漁に生きる女性たち」)
に認定されています。
今は海女文化のユネスコ無形文化遺産登録に向けて行動しています。
海女さんは奈良時代の万葉集に“あま”という言葉が詠まれ、平安時代中期の文献には志摩に約30名の“潜女(かづきめ)”がいるとあります。
とても長い歴史をもつ海女の世界。
そんな海女の間で魔よけのおまじないとして伝わってきたのが、このマークです。
このマークを具に描き、漁での安全を願いました。
【セ―マンドーマンにはどんな意味が?】
星形 セ―マン
星は一筆書きで書くことで、始めと終わりが同じことから「無事にかえってこれる」「元に戻れる」という漁の安全を願っています。
また、入り口も出口もない、スキマがない形は「魔物が入りこむことができない」と海中の魔物から身を守ってくれます。
格子形 ドーマン
縦4本、横5本の格子形の印は「多くの目で魔物を見張る」「入り口が分からないため、悪霊が入りにくい」とこのマークも悪霊から守ってくれます。
海には魔物が棲んでいる以外にも、大自然の中でも危険な場所です。
たしかに、そんな中での素潜り漁は危ないです。
無事に帰ってこれるように願いがこめられています。
【セーマンドーマンは魔よけ?】
セーマンドーマンは魔よけとして描かれてきましたが、海女さんたちは一体どんな“魔”をおそれていたのでしょうか。
トモカヅキ(トモカズキ)
自分だけしか潜っていないのに、そばで同じように潜っている海女がいる。
その海女がアワビをくれたり、誘ってきたりしたらそのまま命を奪われてしまう。
という海の魔物です。
トモカヅキにはセ―マンドーマンの印をつけていないために、「仲間ではない」と分かる印として使われました。
尻コボシ
海の河童と呼ばれる“尻コボシ”。
海女さんが海に潜っていると、尻から内臓を引きずり出すといわれている海の魔物です。
伝承によると、頭に皿があったり、鉄が嫌いであったりと河の河童との共通点が多い。
山椒の枝を首にかけておくとよいといわれていました。
山椒ビラシ
海に出ると、稀にチクリと刺してくるものがあり、昔はこれを山椒ビラシと呼んでいました。
刺された瞬間は針で突かれたような痛み、そして痛みは全体に広がり、呼吸が苦しくなってきます。
この正体に関して、何であるかという結論は出ていませんが、昭和になると注射で回復が早くなり、シャツを着用することで被害が減少したといわれています。
きっと、この“魔”は実在のあの生き物ですよね…
【ある人物に関係している?】
セ―マンのマークである星は、五芒星とよばれ、陰陽道における魔除けのマークといわれています。
このセ―マンという言葉は、安倍晴明の“せいめい”からきているともいわれています。
→→→【安倍晴明】陰陽師の有名人|ご利益は?どんな人物?どこの神社?
一方、ドーマンも芦屋道満(あしやどうまん)からきている言葉です。
陰陽師といえば、安倍晴明のイメージが強く、芦屋道満が誰か分からない方も多いでしょう。
道満も陰陽師であり、晴明の宿敵といわれていた人です。
ドーマンの格子状は修験道(陰陽道)の九字護身法によってできる図形を表しています。
【セ―マンドーマンってどこに描くの?】
手ぬぐいや襦袢といった磯着に描いていましたが、今ではウエットスーツの普及により、磯着を着用する方の数は減っています。
ノミや上着、ゴーグルといった使用する用具全般に記入されています。
【セ―マンドーマンって何で描くの?】
貝紫で描きます。
貝紫というのは、イボニシ貝から取れる分泌液のこと。
イボニシ貝は、日本全国の海辺の岩場に見られる小型の巻き貝。
肉食性の貝のため、養殖のカキを襲うこともあり、水産の世界では有害種。
牡蠣の産地でもある志摩地方にとっては、少しお邪魔な存在かもしれないですね。
【出会いは石神神社で…】
筆者が始めてこのマークに出会ったのは、石神さんで有名な神明神社の駐車場。
駐車場の入り口の石にも、誘導員さんの背中にもこのマークがありました。
「何のマークですか?」と尋ねると、「海女さんのお守りだよ。ドーマンウーマンっていうよ」と少し違った情報を教えてもらってしまいました…笑
神明神社へ向かう道のお店にもドーマンセーマンのあしらわれたお土産がたくさん売られていました。
神明神社にある石神さんは女性の願いをかなえてくれる場所です。
“願い”と“守護”、女性にとってバツグンの地です☺
神明神社にはストラップ型のお守りも売っています。
駐車場から神社までは少し距離がありますが、駐車場内にある案内所で車椅子が借りられるので、足が悪い方も安心です。
神明神社 観光情報
住 所 :三重県鳥羽市相差町1385
電話番号:0599-33-7453
参拝料金:無料
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