【国宝・松本城】黒と白の美しき名城に秘められた歴史と魅力とは?
日本全国に残る「現存12天守」のうち、黒い外観が特徴の美しいお城――それが、長野県松本市にある松本城です。
今回は、戦国と平和の時代が同居する国宝・松本城の魅力を、歴史・建築・雑学を交えてご紹介します。
松本城の歴史と呼び名
松本城は、もともと「深志城(ふかしじょう)」という名前で、小笠原氏によって築かれました。
その後、戦国の荒波にもまれながら、武田氏 → 織田氏 → 徳川氏 → 豊臣氏と、名だたる戦国武将の手に渡っていきます。
豊臣家の家臣・石川数正が入城した際には、大規模な改修が行われ、城下町としての整備も進みました。
“烏城(からすじょう)”と呼ばれる理由
松本城は漆黒の外観から、しばしば「烏城(からすじょう)」とも呼ばれます。
ただし、史実に「烏城」という呼称があった記録はなく、その黒い姿から後世に呼ばれるようになったものだそうです。
松本城の見どころ3選
① 黒と白のコントラストが美しい外観
松本城の外観は、黒漆塗と白漆喰のコントラストが目を引きます。
これはデザインではなく、実は火と水に対する機能性のため。
- 白漆喰 → 火に強いが水に弱い
- 黒漆塗 → 水に強いが火に弱い
この2つを適材適所で使い分け、実用性と美しさを両立させているんですね。
なお、黒漆塗は9〜10月ごろに毎年塗り直され、見た目の美しさと耐久性の両方が守られています。
② 戦国と江戸の融合建築「天守群」
松本城は、5棟の建物が連結された「天守群」として国宝に指定されています。
- 大天守
- 乾小天守
- 渡櫓(わたりやぐら)
- 辰巳附櫓
- 月見櫓
中でも、大天守・乾小天守・渡櫓は戦国時代に建てられ、狭間(さま)や石落としなどの防御設備を備えています。
一方、江戸時代の平和な時代に造られた辰巳附櫓と月見櫓は、戦いを想定しない造り。月見櫓は名前の通り、月を愛でるための開放的な空間で、取り外し可能な舞良戸(まいらど)などが特徴です。
③ 平城なのに堅牢?松本城の防御力
松本城は「平城」に分類されますが、防御構造はかなり優れています。
城の周囲には三重の水堀、石垣、そして複雑に入り組んだ通路があり、敵の侵入を食い止める設計になっています。
さらに、かつては周囲が泥田だったという説もあり、攻め入るには大変な困難を極めたようです。
松本城観光をもっと楽しむために
天守から見渡せる北アルプスの山並み、水面に映る城の姿はまさに絶景。
また、城下町では武家屋敷の雰囲気を残した通りや、郷土料理・おやきや馬刺しなども楽しめます。
関連記事:現存12天守&国宝5天守まとめ
メモ:現存する貴重な天守たち
全国に12しか残っていない「現存天守」。うち5つは国宝に指定されています。
- 犬山城(愛知県)【国宝】
- 彦根城(滋賀県)【国宝】
- 姫路城(兵庫県)【国宝】
- 松江城(島根県)【国宝】
- 松本城(長野県)【国宝】
- 弘前城(青森県)
- 丸岡城(福井県)
- 備中松山城(岡山県)
- 丸亀城(香川県)
- 松山城(愛媛県)
- 宇和島城(愛媛県)
- 高知城(高知県)
まとめ:歴史と美の融合、松本城を訪ねて
戦乱の時代と平和の時代、その両方の面影をとどめる松本城。
美しい外観と機能的な構造、そして時代を超えて受け継がれてきたその姿は、まさに「国宝」と呼ぶにふさわしい存在です。
長野県へ訪れる際には、ぜひ足を運んでみてくださいね。