疲れたカラダとココロを癒してくれる温泉。
旅の目的地にする方も多いのではないでしょうか?
【全国温泉巡り】では、日本に3000あるといわれている温泉を一つひとつ、じっくり紹介していきたいと思います。
今回は群馬の名湯、草津温泉です。
Contents
【どんな温泉?】
群馬県の北西側、標高約1200mの山間部 吾妻郡草津町にある草津温泉。
自然(自噴)湧出量は日本一を誇り、毎分約32,300L(1日でドラム缶23万本!)もの温泉が湧き出しています。
この膨大な湧出量のおかげで、旅館や温泉施設では“源泉かけ流し”ができているのです。
メモ
〔自然湧出量?〕
温泉の湧出形態は大きく分けて2つに分けることができます。
自然(自噴)泉……人工的な外力に頼らず、自然に湧き出ているもの。
揚湯泉、動力泉……ポンプなど、人工的な外力を使って温泉を汲みあげているもの。
【どんなお湯?】
日本有数の酸性度で、ph価は2.1。雑菌などの殺菌作用は抜群の数値になっています。
お肌も少しピリピリと感じちゃいます。
メモ
〔phって?〕
「ピーエッチ」または「ペーハー」と読みます。日本語では「水素イオン指数」。
アルカリ性か酸性かを測る目盛の種類。
学校での水泳の授業の前に、先生が試験管に水を入れてるのを見たことはありませんでしたか?あれはphを測定していたのです。
泉質:酸性・含硫黄-アルミニウム-硫黄酸・塩化物温泉(硫化水素型)(酸性低張性高温泉)
効能:神経痛、筋肉痛、関節の強張り、慢性消化器病、冷え症、慢性婦人病、疲労回復、健康増進 などなどなどなど
「恋の病以外効かぬ病はない」
と言い伝えがあるほど、効能高い温泉なんです!(と言いつつも、禁忌症(温泉入浴により、身体に悪い影響をきたす可能性がある病気、病態)ももちろんあります。
活動中の結核、悪性腫瘍、重い心臓病、呼吸不全、腎不全、出血性疾患、粘膜過敏といった病気をお持ちの方や心配なことがある方はかかりつけのお医者さんにご相談くださいね。)
源泉が6つもある?!
草津温泉には、主に6つの源泉があります。
湯畑源泉
温泉街のシンボルとして中心に位置している湯畑源泉。
ここでは、湧き出た湯を7本の木桶に通します。これは、高温の湯を外気によってほどよく冷やす仕組みです。
無色透明で、お湯が柔らかく一番入りやすいといわれている湯です。
万代(ばんだい)源泉
湯量が一番の源泉です。温泉街からは少し離れた高台にあります。
「西の河原大露天風呂」に使われている湯はここのお湯。
西の河原源泉
公園として整備されており、園内のいたるところから湯が湧き出ています。
無色透明の湯をしています。
読み方は「さいのかわら」と読みます。西の方にあるから、「にしのかわら」なのかな?と思っていましたが、草津町の公式HPを見てみると「さいのかわら」となっていました!(読み方って難しい…)
煮川(にかわ)源泉
地下から湧き出た源泉を外気に触れさせず、一度貯水槽に貯めてから各施設に配当しています。なので、湯は他の源泉から引かれた湯に比べてかなり熱いです。
白旗源泉
湯畑の隣で湧出している源泉です。歴史が最も古く、源頼朝が発見して入浴したという言い伝えが残っています。
以前は“御座の湯”という名でしたが、明治時代に源氏の白旗にちなんで改名されました。(源氏vs平氏の源平合戦で、源氏の旗印が白、平氏の旗印は赤だった。ここから発展して今の“紅白”合戦がある)
硫黄分が強いとされ、湯が少し白濁しています。
地蔵源泉地蔵堂の脇から湧き出ています。湯の花がよく見える源泉です。
この地蔵堂のお地蔵さんは座っており、珍しいお地蔵さんだそうです。
昔から眼病によいといわれています。
湧出量が主に上記の6つが多いことから“主に6つ”といわれていますが、実はまだまだあるらしいですよ~!
旅館や浴場によって使用している源泉が違うので、どこの源泉だろ?と思いながら入るのも面白そうですね。
【歴史】
歴史はかなり古く、開湯伝説としては古墳時代、奈良時代にまでさかのぼります。
古墳時代(大和朝廷の頃)にヤマトタケル(日本武尊)が発見したとも、奈良時代に僧 行基により発見されたともいわれています。
歴史上の記録に残っている最初のものとして、鎌倉時代に鎌倉幕府を開いた源頼朝が入湯したといわれています。
また、京都の僧 万里集九が入湯し、「梅花無尽蔵」に摂津の有馬(兵庫の有馬温泉)、飛騨の湯島(岐阜の下呂温泉)と並んで、最たる温泉であると紹介し、「日本三名泉」として有名です。
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その後はたくさんの人に愛され、町民や武士といった庶民から、豊臣秀吉や徳川家康、前田利家や小林一茶などの有名人も入湯しています。
世界的に有名な温泉地
草津温泉は、温泉療法医が薦める温泉として選定された「名湯百選」に名を連ねています。
また、世界にもその名湯ぶりで名を響かせています。
そのきっかけとなったのは、明治初期に草津温泉を訪れたドイツ人医学者ベルツ博士が本を著したからです。
ベルツ博士は、草津の地は温泉だけでなく空気も最上級、飲料水も理想的と大絶賛しています。
1890年(明治23年)「日本鉱泉論」を発刊、1896年(明治29年)には草津温泉の研究書である「熱水欲療論」を発表し、草津温泉の医学的有効性を世界中に紹介しました。
ベルツ医師の記念館や銅像が草津にはあります。
【草津温泉の見どころ】
草津温泉のシンボル「湯畑(ゆばたけ)」
温泉街の中心に位置しており、草津散策の中心地。
毎分4,000Lもの温泉が湧き出ており、いつでも湯けむりがあがっています。
上記にも書いたとおり、ここは源泉のひとつです。
源泉が中心地にあり、見どころのひとつだなんてさすが温泉地!といったところでしょうか。
長さ60m、幅20mという広いところに湧き出ており、この湯たちは7本の木桶を通って温度を冷ましてから湯滝となって湯壺に流れ落ちます。
この湯壺から、各施設に温泉がいきわたっています。
また、この木桶についた硫黄分が酸化し、沈殿したものが”草津名物「湯の花」”で2か月に一度採取されて販売されています。
湯畑の周りは瓦が敷き詰められた歩道があり、石柵やベンチなど、散策が楽しめる公園となっています。夜にはライトアップもされています。
温泉入浴法による体質改善「時間湯(湯もみ)」
草津温泉には江戸時代から受け継がれる入浴方法があります。それが時間湯。
草津温泉で有名な“湯もみ”はこの時間湯の工程のひとつとしても使用されます。
〈手順〉
- 湯もみ 20~30分
泉質を下げないために水を加えずにお湯の温度を下げるためのもの。準備運動としての効果もあります。
- 手桶により頭に30~40杯の湯をかぶる
草津温泉の源泉はかなり高温です。急激な血圧上昇や貧血予防のために、体を熱さにならしておきます。
- 湯長の号令で一斉に入湯(3分間)
高温の湯をなるべく動かさないようにみんなで同時に入ります。
- 湯長の号令で一斉に出る
- これを1日に4回くりかえす
この時間湯、一時期は6か所の浴場で行われていましたが、いまは「千代の湯」「地蔵の湯」の2か所で行われています。
〈湯もみ〉
草津温泉の源泉は熱く、50℃近いものがほとんどです。そのまま入浴することはできません。しかし、温度を下げるために水を入れてしまうと、温泉の効能が薄れてしまいます。
そこで温泉の中に“六尺版”を入れ、湯をもみ、入浴できる温度にまで下げる湯もみが考え出されました。
「湯もみ」は、温度を下げるだけではなく、入浴前の準備運動や湯を柔らかくするといった効果も得られます。
湯もみを行う際に調子を取るために歌われるのが“草津湯もみ唄”です。草津節が有名です。
聞いたことがある人も多いのでは?
「草津~ よいとこ~ 一度はおいで~」のフレーズのあれです。
湯もみのショーは、湯畑近くの「熱乃湯」で大迫力のモノが見ることができます。
プロサッカー選手を目指す地元サッカー選手たちによる特別講演やジャズとのコラボイベントもあるとか!
【草津温泉豆知識】
草津温泉では、石鹸の泡が立ちにくいです。
それは温泉の泉質が酸性で、石鹸成分はアルカリ性だからです。中和されてしまうんですね。
おかしい…!とゴシゴシがんばるのではなく、そういうものだくらいにとらえておいてください。
貴金属は忘れずに外して入浴してください!
草津温泉の泉質は酸性。しかもph2.1ということは、強酸性なんです。
酸の性質のひとつに、「金属を溶かして、水素を発生させる」というものがあります。そうです、溶かしてしまうんです。
なので、入浴の際には外すようにしてくださいね。
草津温泉の温泉街は至るところで湯が沸き、楽しむことができます。
しかし、その湯も水蒸気となって空気中に含まれています。貴金属だけでなく、衣服も酸性に弱いので、少し観光のときの服装は悩むところです…
【おわりに】
群馬の名湯、草津温泉をご紹介しました。
東京からバス一本でいけるそうなので、週末のリフレッシュ旅行の候補にもよさそうな場所ですね!
(筆者は気軽に行ける場所住みではないのでうらやましすぎます…)
草津温泉にはゆるキャラの“ゆもみちゃん”がいて、街を盛り上げてくれていますよ~!!
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