「地獄の王様」と聞くと閻魔大王を思い浮かべる人が多いですよね。
でも実は、地獄にいるのは閻魔様だけではありません。亡者を裁く十人の裁判官=十王が存在するんです。
漫画『鬼灯の冷徹』でも描かれていますが、この十王は仏教と道教が融合して生まれた思想に基づいています。
十王信仰は中国から平安時代の日本に伝わり、やがて「初七日」「四十九日」「三回忌」などの法要習慣と結びつきました。
つまり、今でも私たちが行っている供養の文化は、この十王の裁判スケジュールに対応しているんです。

十王とは?役割と裁判の仕組み
亡者は死後、7日ごとに十王から裁きを受け、最終的には三回忌で最終審判を受けるとされています。
裁判では「生前の行い」が最も重視されますが、遺族が行う追善供養の有無や誠意も影響する、と信じられてきました。
では、十王それぞれはどんな役割を持ち、どんな道具で裁きを下すのか。以下に一覧でまとめました👇
王様の名前 | 担当時期 | 役割 | 使用する道具 |
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秦広王 | 初七日 | 最初の審判。亡者の生前を確認 | 帳簿(カルマ帳) |
初江王 | 二七日 | 嘘や盗みなど日常の罪を裁く | 秤(善行と悪行を量る) |
宋帝王 | 三七日 | 親不孝や裏切りなど人倫の罪 | 帳簿+筆 |
五官王 | 四七日 | 五感を通じた罪を確認 | 感覚を照らす秤 |
閻魔王 | 五七日 | 嘘を暴く裁判官 | 🪞浄玻璃鏡(行いを映す鏡) |
変成王 | 六七日 | 行いを映像で見せ自覚させる | 幻影の屏風 |
泰山王 | 四十九日 | 地獄か極楽かを判定 | 巨大な秤 |
平等王 | 百か日 | 平等に審判 | 平等尺 |
都市王 | 一周忌 | 転生先を見極める | 運命の巻物 |
五道転輪王 | 三回忌 | 六道行きを最終決定 | 転輪台(六道を示す装置) |
出典:松本市立博物館「十王展」、artne.jp「十王と地蔵菩薩」解説
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追善供養と十王裁判の関わり
十王の裁判は亡者だけでなく、遺族の追善供養によっても影響を受けると信じられてきました。供養の誠意が「情状酌量」となり、極楽に近づけるとされたのです。
法要の時期 | 対応する王 | 追善供養の意味 | 裁判への影響 |
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初七日 | 秦広王 | 最初の裁判。僧侶の読経や祈りで冥福を祈る | 功徳が加点され、罪が軽くなる |
四十九日 | 泰山王 | 地獄か極楽かを判定する重要な節目 | 丁寧な供養で極楽行きの可能性が高まる |
一周忌 | 都市王 | 故人を偲び続けている証 | 誠意ある供養は転生に良い影響を与える |
三回忌 | 五道転輪王 | 最終審判に合わせて行う供養 | 六道の上位界へ導かれる助けになる |
出典:artne.jp「十王と地蔵菩薩」、文化遺産オンライン「十王信仰」解説
文化的背景と現代へのつながり
十王信仰は、絵巻物や地獄絵図にも描かれ、人々に「死後の行き先」を意識させる役割を果たしました。
特に十王図は全国の寺院に残され、地蔵菩薩とともに信仰されてきました。
現代では「法要」や「お盆」で十王の思想は姿を変えて生き続けています。
法要を行うことで亡き人を偲び、同時に自分の行いを省みる…そんな文化的役割も担っているのです。
まとめ:閻魔様だけじゃない“地獄の裁判チーム”
- 十王は地獄の10人の裁判官で、閻魔王はそのリーダー格。
- 裁判では浄玻璃鏡や秤、帳簿などの道具が使われる。
- 遺族の追善供養が裁判に影響するという信仰がある。
- 日本の法要や文化にも深く根付いており、現代に続いている。
「閻魔様の他にも王様がいるの?」と思った方、ぜひ十王の名前や役割を知ってみてください。
法要やお盆の行事が、もっと身近に感じられるはずです☺