「お寿司とともに皿に載っているものといえば?」というクイズがあったとすれば、ほとんどの人が「ガリ」と答えるのではないでしょうか。
そのくらい知名度のある”がり”
しかし、そのがりの正体を知っている人は少ないのでは?
今回はそんな寿司のお供であるがりについて詳しく見ていきます!
Contents
「がり」とは何?
「がり」は、新生姜(しょうが)のスライスの甘酢漬けです。
がりという名前の由来は、”切るときにガリガリ、食べるときにガリガリするから”という説があり、元々はショウガ自体を指す言葉だったたそうです。
今ではこの呼び名は甘酢漬けに限定されて使われていますね。
そもそも”がり”は寿司屋の業界用語として使われていました。
・ムラサキ→醤油
・アガリ→お茶
・ナミダ→わさび
・あおいそ→お勘定
といった言葉と同じでした。
いつの間にか、世間一般にも広くがりと呼ばれるようになっていったのです。
がりとは関係ありませんが、回らないお寿司屋さんの湯呑ってこのお魚の名前がたくさん書いてある湯呑なイメージでした笑
今は回らないお寿司屋さんもスタイリッシュなお店が増えてこういう湯呑の提供も減っているんですかね?
なぜ、寿司にはがり?
では、なぜがりは寿司屋の業界用語にも登場するほど、寿司との距離感が近づいていったのでしょうか。
それにはきちんとした理由があったんです。
殺菌効果
今でこそさまざまなネタの寿司がありますが、やはり王道の寿司ネタといえば生魚。
しかし、生魚には食中毒の可能性があります。
そんな食中毒の原因を滅する(殺菌)効果をショウガはもっています!
ショウガに多く含まれるジンゲロールと呼ばれる成分、この成分がとても優秀。
ジンゲロールには、殺菌作用、免疫細胞を活性化させる作用、胆汁の分泌を促進する作用、吐き気や頭痛を抑える作用など、様々な働きが認められています。
この効果により、食中毒を予防することができます。
それだけでなく、生魚の生臭さを解消する役割も期待できます。
また、食中毒対策として、がりだけでなく、他にも寿司屋には対策が。
アガリ(緑茶)
ナミダ(わさび)
ガリ(しょうが)
緑茶:カテキン…活性酸素の害を抑えてくれます。
わさび…飛鳥や平安の古くから薬草として使われてきました。
自然界の成分を味方につけ、安全に寿司を楽しむことができているのです☺
古くからの風習
握り寿司が文献に初めて登場したのは江戸時代。
江戸の町で考案されたといわれています。
すぐに人気になった江戸前寿司ですが、当時の寿司は屋台で提供されており、箸ではなく、手づかみで食べていました。
現代のようにおしぼりもない江戸時代、ガリがおしぼりの代わりとしての機能を担っていたといわれています。
水分もある程度あり、殺菌効果ももつがりはおしぼりとしての機能をもっていたといえますね。
また、寿司ネタに醤油をつける際に、寿司を逆さにします。
その際に寿司が崩れることも多々あり…
そこで活躍するのもがり!
がりに醤油をつけ、そのがりで醤油をつけることで寿司崩れの防止になります。
ガリと紅ショウガの違いは?
同じショウガを使用した薬味に紅ショウガがあります。
紅ショウガとがりの違いは?
まず、使われているショウガが違います。上記にもありますが、
- ガリ→採れたての新生姜
- 紅ショウガ→ヒネ生姜
を使用します。
これには生姜内の水分量が関係しています。
紅ショウガは水分量が少ない方がよいため、数ヶ月寝かしたヒネ生姜を使用しているのです。
次に見た目でも分かりますが、切り方にも違いがありますね。
ガリが薄くスライスされているのに対し、紅ショウガは細切りです。
浸ける酢も違います。
- ガリ→穀物酢
- 紅ショウガ→梅酢
色もまったく違いますよね。
ガリは生姜のそのままの色(薄い黄色)をしていることもあれば、ピンク系の色をしていることもありますね。
この色はアントシアニンと呼ばれる成分が酢に反応して付いた色味なっています。
それに対し、紅ショウガは赤シソや食紅を加えることであの鮮明な赤色となっているのです。
ガリと紅ショウガはどちらも生姜を保存するために酢漬けにしたのが始まりとされています。
関東では甘酢に、関西では梅酢に漬けられた経緯から、それぞれ別に食べ物として定着していきました。
【おわりに】
寿司のお供として当たり前のようについてくる「ガリ」。
殺菌効果をもち、生魚を食す寿司文化とは切ってもきれない関係にあります。
ご家庭でも簡単に作ることができますので、新生姜の出回る時期にぜひ挑戦してみてほしい一品です。
新生姜が出回る時期は大体5月~6月。
甘酢もだし、酢、砂糖、塩の比率でご家庭毎の味を楽しむことができます。
冷蔵庫で2週間程度はもつそうですので、小さな一品や彩りにも役に立ちそうです!
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