地域性やエリア性が色濃く残る食品のひとつに「味噌」があります。
今回はそんな味噌を見ていきたいと思います!
Contents
【味噌の分類】
味噌は3つの分類に分けられます。
・色 による分類
・原料 による分類
・味 による分類
色による分類
色はみなさんイメージが湧きやすいと思います。
色による分類は3種類。
・白味噌…淡いクリーム色のような味噌
・赤味噌…赤味を帯びた赤褐色の味噌
・淡色の味噌
この色は発行成熟中に起こるメイラード反応により変化します。
メモ
〔メイラード反応とは??〕
原料である大豆などのアミノ酸が糖と反応して褐色に変化すること。熟成が進むほど、色が濃くなっていく。
白味噌
大豆の浸水時間を短くし、蒸さずに煮ます。そうすることで褐色の原因となる糖などの成分が取り除かれ、熟成の時にメイラード反応が抑えられます。
赤味噌
大豆の浸水時間を長くし、高温で長時間蒸します。タンパク質が熱変性して酵素による分解が促進され、濃い色に。色は赤くなりますが、栄養分が逃げにくくなります。醸造中の品温が高く、期間も長いほど色は濃くなっていきます。
「赤だし味噌」という商品が売っていることをよく見かけますが、出汁入りでないものもあります。原材料表を確認してくださいね。
原料による分類
麹による分類とも言います。
メモ
〔麹(こうじ)とは?〕
穀物に麹菌を培養し繁殖させたもの。味噌だけでなく、さまざまな発酵食品の製造において大事な役割を担っています。
この分類も3つに分けることができます。
・米 味噌
・麦 味噌
・豆 味噌
米味噌
大豆に米麹を加えています。全国各地で生産されています。
麦味噌
大豆に麦麹を加えています。九州、四国、中国地方が主な産地。
豆味噌
大豆のみを主原料としています(大豆に麹を付けた豆麹を使用)。東海地方(愛知、岐阜、三重)が主な産地。
熟成期間は1~3年と長いです。
※豆味噌は赤味噌しかありません。
味 による分類
味は2つの味に分けられます。
・甘口味噌
・辛口味噌
辛さ加減は、食塩の量と麹の歩合によって変わります。
麹歩合とは原料の大豆に対する麹の比率のこと。塩分が同じなら、麹歩合が高いほど甘口になります。
【地域による味噌の違い】
味噌の分類は上記に書いたように、3つに分類されます。
では、地域によってどのような味噌が作られているのでしょう?
愛知県の東海豆味噌
味噌大国、愛知県です。ご当地グルメにはほとんどが味噌を使用していますね。
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愛知で有名な味噌は「赤味噌」「豆味噌」です。
(豆味噌には赤味噌しかありません)
なぜ、愛知で豆味噌の製造が盛んになったのでしょう?
それはこの地方の高温多湿という気候が影響しています。高温多湿では味噌の酢敗(脂肪類が酸化して酸っぱくなること)が起こりやすくなるため、大豆に麹菌を直接つけた味噌の製造技法が主流となっていったのです。
愛知の豆味噌美味しいポイント
煮込んでも香りの変化が少なく、食材への香りの吸着と油の乳化性に優れています。肉や魚介類の旨味を相乗的に高め、その味を補強し調和させるという調理特性があるんです!
また、味噌は煮立てると味が落ちたり辛くなりすぎてしまったりとする性質もありますが、豆味噌は煮込めば煮込むほどおいしくなるという驚きの特徴をもっているのです。
豆味噌のブランド味噌?八丁味噌
八丁味噌というものがあります。
見た目は真っ黒で、他の味噌はない特有の香りと酸味があります。
この八丁味噌は愛知県岡崎市にある岡崎城より西へ約870mの距離にある2軒の老舗が伝統製法で作り続けている味噌の銘柄です。
大豆と塩のみを原料にし、大きな杉桶に仕込み、天然の川石を山のように積み上げ重石とし、添加物も使用せず、加熱処理もせず、二夏二冬以上熟成させたものです。
宮城県の仙台味噌
仙台味噌と呼ばれる伊達政宗時代から引き継がれている赤色辛口味噌が有名です。
米味噌、赤味噌、味は辛口となっています。
大豆の味をいかしたスッキリとした味わいで、料理との相性は〇。魚の生臭さをおさえる役割も果たします。
そして驚くことに、そのまま食べることのできるなめ味噌でもあるのです!
塩分は11%と高めで、保存食としても重宝され、戦国時代にも活躍したといわれています。
伊達政宗と仙台味噌
伊達政宗と仙台味噌の関係はとても深いものがあります。
政宗は藩内の農業や産業、文化の振興に尽力したといわれています。運河の整備、農地の改革をしたことで、藩は作物のよくできる肥えた土地を手にすることができました。
そんな中、戦国時代は戦の時代です。戦時の食料(兵糧:ひょうりょう)として味噌が重要視されていた時代です。
政宗は、御塩噌蔵(おえんそぐら)と呼ばれる味噌工場を建造し、大々的に仙台味噌の製造を開始しました。
一説によると、他の藩の味噌は夏場に腐敗してしまったが、仙台味噌は変質することもなく、味も優れたままだったそうな。そのことが評判になり、仙台味噌は一躍有名になったそうです。
京都府の西京(さいきょう)味噌
西京焼き、美味しいですよね。西京焼きで使用される味噌が京都で作られる西京味噌です。
西京焼きは今でこそ日本各地で食べられていますが、元々は京都の料理でした。京都の中心部から海は遠く、腐りやすい魚を保存するために味噌に漬け込む方法がとられました。
西京味噌と呼ばれることが多いので、時別な味噌のように感じますが基本は甘味噌白味噌です。
古都 京都、1200年以上もの間、国の中心地として英華を誇り、華やかな都として栄えていました。その中で、米麹をたっぷりと使い、塩が薄く甘味が強く、上品なまったりとした味わいの白味噌が生まれ、それが今の西京味噌となっているのです。
熟成期間は1~2週間と超短期熟成です。
そのため、原料の善し悪しや米麹の出来不出来がそのまま味に反映されてしまいます。西京味噌の繊細で上品な味を保つために、京都府味噌協同組合では厳しい基準を設けています。
この基準を満たしたものだけが、西京味噌として製造販売を行うことができるのです。
①西京味噌の定義
京都府味噌工業協同組合に所属する企業が、同組合の認定する原料を使用し、京都府内で生産し、同組合の品質認定を受けた低塩甘口の白みそ。
②西京味噌の品質認定
西京味噌の品質については、京都府味噌工業協同組合内に設置する品質審査委員会において認められたものに限る。
③西京味噌の製造技術
(ア) 京都府内で創業50年以上、もしくは味噌技能士1級以上の技術者が在職していること。
(イ) 全国味噌協同組合連合会主催の鑑評会で表彰されている、またはそれと同等の製造技術
を有していること。
(ウ) 前項のいずれかに該当すること。
他にも地域性の高い味噌はたくさん!
マルコメのHPより https://www.marukome.co.jp
【おわりに】
味噌は昔から日本人の食生活の中にありました。日本全国、それぞれの地域でさまざまな特色をもった味噌が作られてきました。
同じ原料でもその土地の気候条件や製造方法で変わる味噌。
味噌で感じる地域性。粋なものですね~!
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