神社やお寺を訪れると、なんとなく雰囲気にのまれて、作法がわからないまま立ち去ってしまう…そんな経験、ありませんか?
でも安心してください。基本のマナーさえ知っておけば、誰でもスマートに参拝できます。
先日、山門の敷居に腰をかけて記念撮影している方を見かけました。構図としては絵になるのですが、参拝者としてはちょっと残念な光景でした。
寺社仏閣巡りを楽しむなら、まずは知っておきたい基本マナーをチェックしていきましょう!
1. 中に入るときの作法
神社の入り口にある鳥居や、寺院の山門は、俗世と神仏の世界を分ける境界。
鳥居をくぐるときには、身だしなみを整え、お辞儀をしてから通るのが基本です。
山門では、敷居を踏まずにまたぐのが作法。女性は右足から、男性は左足から入るとよいとされています。
敷居を踏んではならない理由には諸説ありますが、山門の外が俗界、内が仏の世界とされ、敷居はその中間の世界。そこを踏むのは無礼にあたるとされています。
筆者は子どもの頃、祖母から「神社は神様のお家。鳥居は玄関。神様のお家にお邪魔するのだから“お邪魔します”の気持ちでお辞儀をしなさい」と教えられました。
今でも鳥居でお辞儀をするとき、心の中で“お邪魔します”とつぶやいてしまいます(笑)
2. 参道を歩くとき
参道の真ん中は神様が通る道とされており、私たち人間は端を歩くのが作法です。
横に広がって歩くのも控えましょう。落ち着いた気持ちでゆっくり歩を進めるのが、神仏と向き合う第一歩です。
3. 手水舎での清め方
この漢字、読めますか?筆者は「ちょうずしゃ」と読み、友人は「てみずしゃ」と読みました。
実はどちらも正解で、お互いに知らなかっただけでした(笑)
こうした小さな豆知識を知っておくと、会話も広がりやすくなります。
では、なぜ手水を行うのでしょうか?
それは、心と体を清めて、神仏に向き合うためです。
冬場の冷たい水に思わず避けたくなりますが、それでも行うのが礼儀。
歴史を辿れば、手水はもともと川で行われていたものが、時代とともに手水舎へと移ってきたのだそうです。
【手水の作法(ひしゃく1杯で)】
- 手水舎に軽く一礼
- ひしゃくで水をすくう
- 左手 → 右手 の順で洗う
- 左手に水を溜め、口をすすぐ(手で口元を隠す)
- もう一度左手を洗う
- ひしゃくを立て、柄を清める
- 手水舎に一礼
4. 拝礼の仕方
神社とお寺では、拝礼の方法が異なります。それぞれのやり方を知っておきましょう。
●神社の参拝方法
- 賽銭箱へお賽銭を静かに入れる(投げ入れない)
- 鈴を3回ほど鳴らす(邪気を払う意味)
- 二礼二拍手一礼
- ① 二礼:深く2回お辞儀し、神様へ敬意と感謝を表します
- ② 二拍手:胸の前で手を合わせ、右手を少し引いて2回手を打ちます。ずらしているのは、まだ神と人が一体ではないことの象徴です。
- ③ 一礼:最後に深くお辞儀し、神様をお見送りします
●お寺の参拝方法
- 胸の前で合掌して一礼
- お焼香(右手の親指・人差し指・中指で香をつまみ、額の前に掲げ、香炉へ。1回でOK)
- 鰐口(神社でいう鈴)は1回打ち、静かに合掌
※拍手は打ちません。
お寺は死者の魂が静かに眠る場所とされ、音を立てて霊魂を呼び覚まさないためです。
5. 帰るときの作法
参道を戻るときも、真ん中を避けて端を歩きます。
鳥居や山門を出る際には、内側に向かって一礼をすると、最後まで丁寧な参拝となります。
参拝の基本的なマナーを身に着けて、スマートに寺社仏閣巡りを楽しみましょう!
ちょっとした心がけで、より気持ちのよい時間が過ごせますよ。
