その土地にご当地グルメとして伝わる食べ物には、その土地の風土や歴史がつまっています。
今回は三重県伊勢市、伊勢神宮周辺で親しまれている「伊勢うどん」について紹介していきます。
「一生に一度はお伊勢参り」と言われたほど、江戸時代に爆発的に流行した伊勢神宮参拝。
当時の人口約3000万人に対し、約500万人の人が訪れたという記録も残っているそうです。
驚きの数字です。
そこで全国から訪れた人を温かくおもてなししたのが「伊勢うどん」でした。
【伊勢うどん 簡単にいうと…】
- 伊勢のご当地グルメ
- 柔らかく太い麺
- ツユではなく、タレにからめて食べる
【伊勢うどんってどんなうどん?】
柔らかく太い麺に、たまり醤油のタレを からめて食べるうどん
どんな麺?
お表面はふわふわと柔らかく、中はモチモチの太さのある麺です。
太さは直径1センチを超えるのではないだろうか、という太さです。
(名古屋名物のきしめんも結構太いですよね。それよりも太さあります。)
かなり柔らかく、コシはありません。
独特の柔らかさを出すために、1時間近くも茹でるそうです。
このコシの無い食感はもしかしたら苦手な方もいるかもですが、“うどん”だと思うからだと筆者は思います。
“伊勢うどん”という、そういう食感の食べ物だ、と思って食べてください。
どんなタレ?
たまり醤油を使った濃褐色のタレです。
たまり醤油独特のコクに、昆布や鰹節といった御出汁のしみ込んだ風味豊かなタレです。
見た目は黒に近い色で、とても濃いので味も濃いように感じますが、いざ食べてみると意外にあっさりしています。
メモ
〔たまり醤油とは??〕
愛知・岐阜・三重の東海三県で生産される醤油。
基本的な醤油は、大豆と小麦が50%ずつで作られていますが、たまり醤油はほぼ100%大豆で作られています。
仕込みに使う水分量もかなり少なく、この差がトロリとしたコクを生んでいます。
たまり醤油の始まりは、東海地方ならではの味噌「豆みそ」をつくる過程でにじみ出た液体だけを取り出したものが始まりといわれています。
豆味噌って?味噌について詳しくはこちら→→→【味噌のヒミツ】地域性の出る食べ物No.1?!
伊勢うどんのトッピングは?
基本のトッピングは、ねぎだけです。
きつねや天ぷら、とろろなどお店によってさまざまなトッピングのついたうどんが販売されていますので基本を楽しんだ方はぜひお試しください。
【伊勢うどんの歴史】
伊勢うどん協議会によると、この独特なうどんが誕生したのは今から400年以上前。
文献によると、江戸時代初期、内宮の鳥居前町で浦田町橋本屋七代目の小倉小浜が伊勢神宮に向かう参拝客にうどんを出したとあります、元来、この地の農民が食べていたうどんをすぐに参拝客に提供できるように、麺は常に茹で続け、必要量を釜揚げしていたため、太くてコシのない伊勢うどんができたそうです。
麺を常に茹で続けなければならないほど、お伊勢参りの方が多かったのですね…
また、江戸時代は電車も飛行機もない時代。
そんな時代に伊勢に参る人はきっととてつもない長旅を乗り越えてきたことでしょう。
(google mapで東京駅から伊勢神宮を調べると、愛知からフェリーに乗って3日と半日と出ます。フェリー無しを調べてもmapには出ず…今よりも道も整備されていなかった時代なので、一週間はかかったのではないでしょうか)
長旅を乗り越えてきた参拝客はきっとお疲れ。
そんな疲れたカラダに柔らかな麺は胃腸に優しいエネルギー源でもあったといわれています。
タレも東海地方ならではのたまり醤油。
これも作られていた味噌(豆味噌)から出たこの地ならではのものです。
【おまけ】
閻魔さまから叱られるほどの味?!
江戸時代に大人気だった“豆腐六(どぶろく)”と呼ばれるうどん屋。
ここのうどんは「生きているうちに食わなければ、死んで閻魔に叱られる」と言われるほど、美味しかったそうです。
江戸時代はインターネットもなく、評判はすべて口コミだけ。
お伊勢参りに訪れた人がまた別の人に美味しさを伝える。
伝えたくなるほどのお味だったということですね!
【おわりに】
伊勢うどんは、離乳食の赤ちゃんからお年寄りまで、誰もが美味しく食べることができる食べ物といわれています。
離乳食の赤ちゃんに関して筆者は体験したことはありませんが、80歳近い祖父母と食べたとき、のどにつまる心配もなく祖父母は伊勢うどんを楽しんでいました。
祖母がいうには、「太くてしっかりしているから、うどんと違ってツルツルと進んでいかない」だそうです。
ふわふわと柔らかかったですが、その後はかなりおなかにたまりました…
全国ご当地グルメでは、他のご当地グルメに関しても紹介しています。
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