今回は「ぼてぼて茶」というたべもののご紹介です。
名前だけでは一体どんなものなのか想像できないこの食べ物!(飲み物?)
「ぼてぼて」ってなに?!
Contents
【ぼてぼて茶ってどんな食べ物?】
島根県松江市に“庶民の間食”として伝わる「ぼてぼて茶」。
イメージは“お茶漬け”だと思ってもらえたらよいと思います。
〔庶民の間食?お茶漬け??〕
名前からはまったくイメージのつかない食べ物ですよね。
食べ方(飲み方?)の説明をしていきます。
乾燥した茶の花を入れ煮出しした番茶を、丸みのある大きめの茶碗(ゴシ茶碗と呼ばれます)に注ぎます。
茶葉だけでなく、花も一緒に、というのがポイント!
そして、長めの茶筅(ちゃせん:抹茶たてるときにカシャカシャする道具)の先に少し塩をつけ、茶をかき混ぜます。
かき混ぜると花も一緒に煮出していることから泡が立ちます。
この泡立てるときの音から「ぼてぼて茶」という名になったといわれています。
泡立てたお茶の中に、おこわ(赤飯)や煮豆、刻んだ漬物などの具を少しずつ入れます。
これだけで、出来上がり!
箸を使わずに、茶碗の底をトントン叩いて具をお茶とともに流し込みます。
ただ、箸を使わないのは結構難しい…!!
お店で食べるときは、菓子楊枝がついていてそれで食べられるようになっています。
【どんな歴史をもつの?】
奥出雲に伝わる伝統技法“たたら製鉄”。
そのたたら製鉄の職人さんたちが高温で過酷な作業の合間に、立ったまま口に流し込んで食べるために考えられたといわれています。
メモ
〔たたら製鉄とは?〕
ジブリ映画「もののけ姫」にも登場している伝統技法です。
そう!あのたたら場のシーンです!
たたら製鉄は江戸時代初期に原型が完成した鉄づくりの技法。
かつて、日本の鉄の8割以上がこの技法によって生み出されていたともいわれています。
他にも、
・上流階級の茶の湯に対抗して庶民が考え出した趣味と実益を兼ねた茶法
・松平藩7代目藩主 松平治郷の時代の非常食だった
といった説も流れています。
松平治郷は「不昧公(ふまいこう)」と呼ばれる江戸時代の代表的な茶人のひとりであるので、そんな説が流れたのかもしれませんね。
【おわりに】
時代とともに、姿を見る機会の減った“たたら製鉄”と“ぼてぼて茶”。
由来の起源として有力なたたら製鉄を見ることが減ったことで、ぼてぼて茶も姿をひそめてしまったのかもしれません。
しかし、松江市内の一部の店舗ではまだ販売もしているとのことなので、ぜひご賞味あれ!
筆者は、茶道協同組合さんのお茶のイベントで初めて“ぼてぼて茶”に出会いました。
旧き良きもの絶やさぬよう、努力している方々の姿も見ることができました!