実は健康機能に注目が集まっているみかん。
日本を代表する果物のひとつとして、日本中で栽培されています。
今回はそんなみかんのお話です。
Contents
「みかん」は皮を向きやすい小型のかんきつ類の総称として使われていることが多いですが、一般的には収穫量の多い温州みかんを指すことが多いです。
【最も一般的なみかん 温州(うんしゅう)みかん】
農林水産省の統計(平成25、26年度)によると、以上のように温州みかんの割合が多いことが分かります。
(出典:農林水産省「果樹生産出荷統計」平成26年度|http://www.maff.go.jp/)
上の図は温州みかんの都道府県毎の収穫量と温州みかんの主なブランド名です。
図からも分かるように、日本の至るところで栽培されています。特に、和歌山県、愛媛県、静岡県が多く栽培していますね。
江戸時代は紀州みかんが主流でしたが、明治になり食べやすさと玉の大きさが人気で温州みかんの栽培が盛んになっていきました。
温州みかんという名前の温州は、中国の地名からとられています。
しかし、原産は中国ではなく鹿児島県であると考えられており、また、中国に同じ品種のみかんはないことから温州から持ち帰られた種(または苗)が突然変異して生まれたため、由来として「温州」が伝われたといわれています。
が、伝来の時期が合わないことなどから、ただみかんの産地として有名であった中国の「温州」にちなんだだけともいわれています。
【温州みかんのもつ栄養素?】
温州みかんの色は、β-クリプトキサンチンというもので、オレンジの10倍入っているといわれています。
このβ-クリプトキサンチンには、ビタミンAと同様の働きがあり、がん予防の可能性が示唆されているものです。
骨粗しょう症やリウマチ、糖尿病や動脈硬化といった生活習慣病の予防にもなるといった報告もあります。
上の図には記載がありませんが、静岡県の三ケ日みかん、とぴあみかんが食品の健康効果を表示できる「機能性表示食品」として平成27,28年度に消費者庁に受理されています。
【各産地の栽培の工夫や品種改良】
暖かい気候を好む温州みかんは、主に関東以西の沿岸地域で栽培され、代表的な産地だけでなく、たくさんの地域で生産されています。
多くの品種がありますが、産地名がブランドとして有名になっています。(有田みかんや三ケ日みかん)
どの地域も品種改良や技術を磨き、美味しいみかんを作るようにがんばっています。
みかんは元々、冬が旬の果物です(こたつにみかん、みたいなイメージありますよね)。
しかし、より早く出荷できることを目指した品種の育成も進められ、10月よりも前に収穫が始まり、甘味と酸味のバランスが人気の早生みかんなど、長い期間、各産地のみかんを楽しめるようになってきました。
農林水産省HPより(http://www.maff.go.jp/)
【ブランドみかん】
有田みかん(ありだみかん)
全国生産量の約1割を占めるみかんの代表!10個に1個は有田みかんです。
和歌山県有田地域で生産されています。
この地域は昔から「みかんの売れ行きによってこの町の景気が左右される」といわれるほど、みかん農家専門農家が多いです。
有田地域は年間を通じて温暖で夏場(甘さが決まる時期)に雨が降りにくい気候、また、水はけのよい秩父古生層の土壌であり、温州みかんの栽培に適した地域といえます。
有田みかん生産の特徴は、山の急斜面に作られた石垣(段々畑)。一段ごとにみかんの木が植えられ、収穫の時期になると山々にオレンジ色の彩りが生まれます。
この方法は日当たりのよさ(保温効果)と水はけのよさ(排水効果)が抜群で、美味しいみかん作りの秘訣となっています。
山の斜面一面の段々畑は作業するのにはしんどいし、疲れます。そこで活躍するのがモノレールです。収穫したみかんをコンテナへ入れ、モノレールで運んでいきます。
三ケ日みかん
静岡県浜松市三ケ日町で生産されているみかんです。
甘さだけではなく、みかんらしい酸味があることにも追及しており、コクのある深い味わいのみかんを作っています。
美味しさの秘訣は、浜松市の日本トップクラスの日照量。
甘さである糖は、葉が光合成することによって作られます。太陽の日差しを存分に浴び、三ケ日みかんの甘さを引き出しています。
土も特徴的です。やせ地で礫が多い土地。
しかし、水はけが良く味が濃厚になります。秩父古生層からなる赤土で、ミネラルも豊富に含んでいます。
三ケ日みかんの品種「青島みかん」は貯蔵みかんにとても適しているといわれているみかんです。
なぜ、青島みかんが貯蔵に向いているのかというと、糖度が高くコクがあるだけでなく、丈夫な果皮をもつからです。
土地的にも貯蔵に向いているようで、貯蔵みかんの代名詞となっています。
メモ
〔貯蔵みかんとは?〕
みかんは春先くらいまで店頭に並んでいます。しかし、収穫は霜が降りるクリスマス頃には終わっているのです。収穫後もみかんが店頭に並ぶのは、みかんが農家に“貯蔵”されているからです。
貯蔵の期間に、果肉中のクエン酸が分解され酸のカドが取れ、水分も発揮し、味が濃厚になります。まろやかで、甘みの引き立つみかんとなります。
ただ単に保管しておけばよいというわけではなく、貯蔵前に果実内の水分を奪う作業をしたり、専用の木箱に並べたりします。貯蔵庫内は空気を循環させつつ、適性の温湿度を保っておかなければなりません。
農家さんの長年の経験からできる、匠の技術のひとつです。
愛媛みかん
柑橘王国 愛媛県。
みかんの生産量だけでみると、和歌山県についで2位ですが、柑橘全体でみると全国1位の生産を誇ります。
愛媛のみかん(柑橘類)が甘くてジューシーな味わいなのは、3つの太陽があるからといわれています。
①空に輝く太陽 ② 海に反射する太陽 ③ 斜面に築かれた石垣に反射する太陽
そして、気候も大きく関係しています。
年間平均気温が15度以上、冬の最低気温も氷点下5度以上、夏場の日照時間が長いなど、みかんの成長に必要な気象条件がしっかりそろっています。
瀬戸内の海風をたっぷり浴びてミネラルを含んだ土壌も、栄養価の高いみかん作りに一役買っています。
柑橘王国の愛媛はなんと、専門の研究施設があるんです!
「みかん研究所」。愛媛県の農林水産部が柑橘の研究をしています。
交雑(異なる品種を掛け合わせて、良い特性を受け継ぐ品種を作り出す)と呼ばれる手法が品種改良ではよく使用されますが、成熟の遅いかんきつ類だと結果が出るまでに長い月日が必要です。
研究所で研究されることで、将来の生産者や消費者のためになっています!
【みかん🍊いろいろ】
温州みかんのことを中心にご紹介してきましたが、その他のみかんのことも少しご紹介!
夏みかん
袋に苦味があるので、むいて果肉だけを食べる人が多いみかん。さわやかで甘酸っぱい。
産地―熊本県や鹿児島県など
時期―2月~6月頃
甘夏(あまなつ)
夏みかんの中から糖度が高いものが発見され、甘夏として流通するようになった。
はっさく(八朔)
甘い、すっぱい、ほのかな苦みという絶妙なバランス。
果汁は少なめのため、食感はさっぱりと感じる。袋は食べず、果肉だけを食べます。
産地―和歌山県や広島県など
時期―2月~4月頃
いよかん(伊予柑)
愛媛県の特産品。甘さ控えめ、ほどよい酸味。
皮は柔らかかく、手で簡単に向ける
産地―愛媛県など
時期―1月~3月頃
ポンカン(椪柑)
果肉は甘くて柔らか。皮も向きやすくて袋ごと食べられる。
ポンジュースのぽん。
産地―愛媛県や鹿児島県など
時期―1月~3月頃
日向夏(ひゅうがなつ)
さっぱりとした甘み。皮についている白いワタまで(少し苦みがあるけど)おいしい。袋もおいしい。
産地―宮崎県や高知県など
時期―12月~5月頃
ぶんたん(文旦)
高知県の特産品。果肉は弾力があり、甘くておいしい。香りもよい。
皮が厚くて種も多い。でも果肉はぷりぷり食感。
産地―高知県など
時期―1月~4月頃
しらぬい(不知火)
頭が出っ張った見かけが特徴的。種はほとんどなくて食べやすい。果肉はツブツブ食感。
デコポンはこの品種の熊本県で生産されているブランドを指す。
時期―12月~5月頃
金柑(きんかん)
むかないで丸かじりできる。果肉は酸っぱい、皮は甘いというちょうどよいバランス。
産地―宮崎県や鹿児島県など
時期―1月~3月頃
きよみ(清見)
温州みかんとオレンジ(アメリカ産)の交雑でできた。とても甘い。
さまざまな品種の交雑の相方になっている親のような存在。
産地―愛媛県や和歌山県など
時期―3月~5月頃
柑橘類は100種類以上あるといわれており、種類豊富すぎます。
一部分だけを紹介しましたが、他にもすぐに思いつくものがあるのでは?
わたしは八朔が大好きです~!
【栄養満点◎柑橘類】
温州みかんには、β-クリプトキサンチンという栄養素が入っていることは紹介しました。
他の柑橘類のもつ栄養素も健康維持に役立つ機能性成分満載なんです。
文旦や八朔の皮に含まれるオーラプテンという成分が、がんの抑制効果をもつことが(動物実験の段階ですが)確認されています。
また、多くの柑橘類の皮にはポリメトキシフラボンという成分が入っており、この成分も(動物実験の結果ですが)がんの転移やリウマチに関係する酵素を阻害するという結果が出ています。
農林水産省が健康のために「毎日くだもの200グラム運動」を推進しています。
みかんなら、2個食べると200グラムになり、達成することができるんです。2個ならお手軽ですね!
【おわりに】
みかんはアメリカやカナダ、オーストラリアといった国から“テレビオレンジ”の愛称で親しまれています。
これは、オレンジはナイフで皮をむかないといけないが、みかんはテレビを見ながらでも簡単に向けることから名前がついたそうです。
たしかに、日本のこたつにみかんのイメージもテレビを見ながらむいているような…!
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