「寿司の横に必ずある食べ物って何?」と聞かれて、多くの人が真っ先に思い浮かべるのが「ガリ」ではないでしょうか。
寿司とセットで提供されるほどメジャーな存在なのに、その正体や役割を正確に知っている人は意外と少ないものです。
今回は、そんな「がり」の謎に迫ります!
Contents
がりって何?正体と由来
「がり」とは、新生姜のスライスを甘酢に漬けたものです。

名称の由来は、切るときや食べるときに「ガリガリ」と音がすることからだと言われています。
もともとは「ショウガ」全体を指していた言葉でしたが、今では「甘酢漬け」の意味に限定されて使われています。
業界用語から市民権へ
「がり」はもともと寿司屋の業界用語でした。
- ムラサキ…醤油
- アガリ…お茶
- ナミダ…わさび
- あおいそ…お勘定
こうした専門用語と並んで「がり」も使われていたのが、次第に一般にも広まったという経緯があります。

寿司にがりが添えられる理由とは?
寿司との相性の良さから定番になった「がり」。その理由にはきちんとした根拠があります。
① 殺菌・消臭作用
寿司といえばやっぱり生魚。
生魚は食中毒のリスクがあるため、衛生対策が欠かせません。
そこで活躍するのが、ジンゲロールという成分を多く含むショウガ。
ジンゲロールには、
- 殺菌作用
- 免疫細胞の活性化
- 胆汁の分泌促進
- 吐き気や頭痛の緩和
など、さまざまな健康効果が期待できます。
さらに、生魚特有の生臭さも和らげてくれるという点でも優秀です。

- ガリ(生姜)…殺菌と消臭
- アガリ(お茶)…カテキンが抗酸化
- ナミダ(わさび)…古来の薬草
② 江戸時代の風習から
握り寿司が誕生したのは江戸時代。
当時は屋台形式で、手づかみで食べていました。
現代のようなおしぼりはなく、ガリが“手拭き代わり”としても機能していたそうです。
さらに、寿司を醤油に浸すときに崩れるのを防ぐため、ガリで醤油をつけるというテクニックも用いられています。

ガリと紅ショウガの違いは?
どちらも生姜の酢漬けですが、実は全くの別物。
使われる生姜の違い
- ガリ:新生姜
- 紅ショウガ:ヒネ生姜(数ヶ月熟成)
紅ショウガには水分の少ないヒネ生姜が向いています。
見た目と味の違い
- ガリ:薄切りスライス × 穀物酢
- 紅ショウガ:細切り × 梅酢
色味も違い、ガリは薄いピンクや黄色、紅ショウガは赤シソや食紅によって鮮やかな赤に染まります。
元はどちらも保存食として始まりましたが、関東=甘酢・関西=梅酢という違いから別の食品として定着しました。
【まとめ】ガリは寿司の縁の下の力持ち
寿司とセットで提供される「ガリ」には、殺菌・消臭・風習・便利アイテムという多くの役割が詰まっています。
家庭でも手作りできますので、新生姜が出回る5〜6月頃にぜひチャレンジしてみてください。
甘酢は「酢・砂糖・塩・だし」の配合で家庭ごとの味を楽しめますし、冷蔵庫で2週間ほど保存も可能です。
食卓の彩りにもなる、健康的な一品ですよ☺