歴代首相の輩出数最多を誇る山口県。
前首相である安倍晋三氏も山口出身でした。
そんな山口県、歩いて渡れる海峡や世界からも注目される絶景・角島大橋など、観光スポットも多数。
そんな山口県の観光スポットを江戸時代から牽引するスポットが岩国市にある「錦帯橋」です。
錦帯橋はどこにある?
山口県岩国市にあります。
岩国ってこんな町!
広島県と山口県の県境にある城下町。
吉川家の城である岩国城を中心に栄えた町です。
新幹線停車駅である新岩国駅や岩国錦帯橋空港など交通アクセスのよい街です。
近くには日本100名城のひとつである「岩国城」や、日本酒の仕込み水として使用されることもあるほどきれいな「錦川」があります。
岩国城から錦帯橋・錦川を望む
錦帯橋はなにがすごい?
錦帯橋は日本三名橋に選ばれるほどの橋ですが、一体どこにそのすごさがあるのでしょうか。
錦帯橋がすごいと言われるその理由は「江戸時代から続く技法」が今なお受け継がれているからです。
江戸時代初期、岩国のまちづくりに伴って錦川にかけられた橋。
しかし、その橋は増水のたびに流されてしまっていました。
そこで「絶対に流されない橋を」と、建築されたのが錦帯橋なのです。
錦帯橋は、巻きがねとカスガイのみ使用される「木組みの技法」。
釘は1本も使用されていません。
錦川の河川敷から錦帯橋を眺めると、その美しさを見ることができます。
5連の木造アーチのアーチ部分の精巧さと強度は現在の技術と比べても謙遜ないものとなっています。
現在でも高く評価される技術。
それが300年以上も前から続いているというのは圧巻です。
東海道五十三次を描いた歌川広重の制作した「六十余州名所図会」にも錦帯橋は描かれています。
五畿七道のそれぞれの国から1枚、名所が描かれたこの作品。
その作品に山口県(当時は周防)から選ばれたのが『岩国 錦帯橋』です。
山口を代表する観光地として、大切にされ続けています。
錦帯橋のもつ歴史は?
岩国のまちづくりに伴い、江戸時代前期に建築の始まった錦帯橋。
錦帯橋のはじまりと、岩国の発展のはじまりは切っても切れない関係にあります。
岩国の初代藩主、吉川広家は1608年に錦川に囲まれた横山山頂に岩国城を築城。
横山の麓には、居館ら上級武士の屋敷を配置、中下級武士の屋敷や町屋は錦川の対岸に配置していました。
しかし横山と錦川対岸では、幅200mの錦川が流れており、その錦川は急流として名高い川。
橋は城下町形成のためには必須なものでした。
建築された橋は、暴れ川である錦川により度々流出。
そこで、第3代藩主の広川広嘉は「絶対に流れない橋」を架けることを目指します。
錦帯橋の構想のヒントとなったのは、明からの渡来僧の持つ「西湖遊覧誌」にあった島づたいに石橋が架かる図。
それをヒントに200mの幅の錦川の、絶対に流れない橋づくりをしました。
1673年10月に錦帯橋が完成。
翌年、洪水により一部が流出してしまいましたが、すぐに敷石を強化して再建。
以降、276年。
補修や架け替えを繰り返しながらも、流出することは一度もありませんでした。
しかし、1950年に襲ったキジア台風により流出してしまいます。
これを機に近代的な橋へとの意見もありましたが、以前と変わらぬ姿の橋が再建されました。
2004年には平成の架け替えが行われ、伝統を受け継ぐ岩国の匠により、江戸から続く木組の工法で造られました。
錦帯橋の名前の由来は?
この錦帯橋という名前、当初からついていたわけではありませんでした。
創建当時は「大橋」と呼ばれることが多く、吉川広嘉が幕府から名前の記載を求められた際にも「岩国大橋」と書いたと言われています。
錦帯橋という名前が初めて使用されたのは、1706年(宝永3年)、岩国の儒学書の著の中に出てきました。
「錦帯橋、錦見の里に近きを以てなり」とあります。
錦見という地名は、錦川の岩国城の対岸。
錦見にかかる橋ということで、地名から名付けられたという説があります。
他にも、構想のヒントとなった中国の石橋の風景が錦の帯のように美しいと「錦帯」と呼ばれていたからーという説もあります。
さまざまな説が説かれており、どの説が正しいのかは未だに分かっていません。
錦帯橋と呼ばれるようになった橋ですが、公式の名称となったのは明治維新の後です。
錦帯橋のみどころ ~映えるフォトスポット~
錦帯橋と錦川、そして岩国城
錦帯橋が造られるきっかけにもなった岩国城と錦川。
その3点をまとめて臨むと岩国の観光名所を一堂に観ることができます。
岩国城は建て替えられたものですが、江戸の昔に想いを馳せるにはぴったりの風景です。
錦帯橋の美しい木組み
錦帯橋のもつ美しさは木組みによる幾何学模様。
橋の真下に行き、美しい幾何学模様をお楽しみください。
しかし近くに行くことができる錦帯橋ですので、近くのでその模様を楽しむことをオススメします。
橋を渡るときも…
橋を渡る前に、入り口付近から眺めてみてください。
橋の裏側と表側を同時に楽しめるスポットです。
橋を渡り、眼下に広がるのは清流・錦川。
水は澄んでおり、季節が合えば鮎が泳ぐ姿を橋上から見ることもできます。
錦川の水は酒井酒造さんが伏流水として使用しており、山口の日本酒といえばーで想像する人も多い「五橋」の蔵元さんです。
ミニ錦帯橋?!
岩国城のふもとにある吉香公園には、ミニサイズの錦帯橋があります。
ミニサイズの錦帯橋は実験橋。
この実験橋では、雨水の染み込みを検証しています。
渡る人が多ければ多いほど、データとしてはよいのでぜひ実験橋にも足を伸ばしてみてくださいね。
錦帯橋へのアクセス
住所 | 〒741-0062 山口県岩国市岩国1丁目 |
電話番号 | 0827-29-5107(岩国市錦帯橋課) |
営業時間 |
8:00~17:00 ※24時間入橋は可能。 |
入橋料金 | 大人(中学生以上)310円 小学生 150円 |
おわりに
何も知らずに見れば、「綺麗な橋」で終わってしまう橋。
橋のそもそもの目的は川を越えることです。
しかし、この錦帯橋には川に架かるまでの悲願や道のり、橋の重要性も折り重なっています。
また、江戸時代から続く美しい技法も錦帯橋を錦帯橋たらしめる部分です。
錦帯橋の中身を知ることで、錦帯橋をもっと楽しみましょう!
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